「労働契約法」の改正が昨年の12月28日に発表されたことは、御存知の方も多いかと思いますが、今回は、労務派遣について、改正点をおさらいしたいと思います。
今回の労働契約法の改正を受けて、労務派遣を利用する多くの企業が直接雇用に切り替える動きが出てきました。が、問題が発生しました。
直接雇用に切り替えるには、いったん派遣会社と労働者の間の労働契約を解除し、新たに派遣先企業と労働者の間で労働契約を結び直す必要があることから、労働者が要求すれば経済補償金を支払う義務が生じてしまいます。
この問題の対応について、多くの日系企業様が悩んでおり、弁護士の認識でも法律的な回避策はないというのが現状です。
この問題について、元裁判官に意見を聞いてみました。
元裁判官「あなたの質問について言えば、補償を急ぐ必要はないと考えます。
なぜなら、あなた方の故意による解約ではなく、この様な問題を抱えているのは
日系企業だけでは ありません。したがって、しばらく様子を見ても良いのでは
ないか。
たとえ派遣会社と訴訟になったとしても、派遣会社が100%勝つとはいえない。
もう一つの方法としては、あなた方の所在地にある労働部門にこの様な通常でない
問題を報告して、意見を聞くことです。
とにかく、あなた方にすべて補償させることは合理的ではないと考えます。」
元裁判官の意見を、僕なりにまとめますと、
① 直接雇用に切り替える際、経済補償金を要求する従業員に対しては、補償金の支払いを急がず、
現状維持で様子を見る。
② 所在地の労働部門に問題を報告して相談する
ということでしょうか。
以上、ご参考になれば幸いです!