昨年、多くの地域で最低賃金の引き上げが行われました。人力資源社会保障部が今年1月末に発表したデータでは、2012年には25の地域が経済発展状況に基づき最低賃金を調整し、その平均上昇率は20.2%であったそうです。今年発表された「関於深化収入分配制度改革的若干意見」の中では、「経済の発展や物価変動に基づき適時最低賃金基準を調整し、2015年には大多数地区の最低賃金基準を当地城鎮就業人員平均給与の40%以上にするよう」述べられております。今年も既に北京市、浙江省、陜西省、河南省、貴州省、深?市、広東省の7地域にて最低賃金の調整が発表されており、7省市以外でも天津市、江西省、安徽省、甘粛省、遼寧省等が、今年中に時期を見て調整すると表明しております。
まず今年に入って発表されたうち一部の「最低賃金(月給)」と、それぞれの「最低賃金の定義」に関して以下にまとめました。
「最低賃金」といっても、実は地域により「最低賃金」に含まれるものが異なるため、発表された数値だけを比べても正しい比較にはなりません。深?市の最低賃金が中国で1番高いというニュースを見かけることがありますが、それは表面の数値を比べたものでしかありません。
・最低賃金発表数値の比較:上海市(2012年)<深?市(2013年)
・深?市の最低賃金の内訳:「住宅積立金(個人負担分)」と「社会保険(個人負担分)」を含む
・上海市の基準を深?市と同様の基準にあてはめると1,867元(1+4+5=6)。実際は上海市の
2012年の最低賃金の方が、今回調整された深?市のものよりも高い水準になります。
「給与の定義」もまた各企業により様々です。「手取り(net)」を給与とする企業、「総額(gross)」を給与とする企業、「総額(gross)から個人所得税を控除したもの」を給与と定義する企業など。給与定義は、弊社で定期的に実施している「給与調査」においても、毎回重点的にチェックしている項目の1つです。中国給与の盲点は「給与定義の確認」と言えるかと思います。政府筋から発布される「給与データ」は、上海・北京の最低賃金等の特別な断りがない限り「総額(gross)」で表記されているとお考えください。