2012年12月28日に、全国人民代表大会常務委員会にて「中華人民共和国労働契約法」の改正案が通過し、「「中華人民共和国労働契約法」の改正に関する決定」が公布されました。今回は全て「労務派遣」に関する変更で、労務派遣を更に厳しく管理する内容となっております。修正内容は2013年7月1日から施行です。以下、変更条項に関し簡単にまとめました。
■原文(中文):http://www.chinalaw.gov.cn/article/xwzx/fzxw/201212/20121200379606.shtml
【労務派遣会社の設立条件】(労働契約法第57条)
労務派遣会社に対し、登録資本金の引き上げや行政許可申請の必要等、経営条件を厳しくしました。
【同一労働同一賃金】(労働契約法第63条)
「同一労働同一賃金」とは「同じような業務内容の労働者には同等の労働報酬を」という意味です
が、以前より強い表現となっています。
【臨時性、補助性、代替性】(労働契約法第66条)
労務派遣の雇用は補充形態であり、臨時性、補助性あるいは代替性の職位でしか実施できないことの
強調と、その言葉への詳細な定義が加えられました。
①臨時性:存続時間が6ヶ月以下 ②補助性:主要経営業務職位を補佐
③代替性:派遣先労働者が脱産学習(※雇用は保ちつつ一定期間業務から離れ研修に参加すること)
や休暇 等の原因で一定期間中業務ができない場合の代理
また、派遣雇用者の数量へも、「一定比率を超えてはならない」と加えられています。
【罰則】(労働契約法第92条)
派遣会社への違法経営に関する罰則と、派遣会社と派遣先企業への労務派遣の使い方に関する
罰則が、具体的な金額も明示されつつ厳しく変更されました。
【施行日と施行に関して】
「本決定は2013年7月1日から施行する。本決定を公布する前にすでに締結した労働契約と労務派遣
協議は引続き期限満了まで履行するが、労働契約と労務派遣協議の内容が、本決定の同一労働同一
賃金 に基づく労働報酬配分方法を実施する規定に合致しない場合、本決定に従って調整しなければ
ならない。」とあります。つまり公布前に既に締結している派遣従業員の労働契約は、期限満了まで
有効です。ただ「本決定を公布する前にすでに締結した」という言葉はありますが、「公布後~施行
前」の派遣契約に関しては具体的表記がありません。そのため大手派遣会社のFESCOへ対応を
確認したところ、次のような回答を得ました。
「新規設立企業であれば、派遣を受け入れることはできます。ただし既存企業であれば、社内担当も
いるこ とですから、派遣の依頼があっても受け入れないようお話していくつもりです」と。
派遣を利用されている場合 は、社員の更新時期よりも前に、派遣会社の対応をご確認ください。