昨年外国人の社会保険加入に関する法律が施行となりました。しかし、上海ではまだ「細則」が発表されておりません。
そんな中、春節明けに蘇州市で「細則」が公表されました。今回は蘇州市細則の内容を基に、外国人社会保険加入問題の現状をご紹介します。
まず、中国国家の法律上では昨年末に発布された通称「113号通達」によって、現在も「社会保険に加入しなければならない」状態となっている点にご注意ください。
【中国:外国人社会保険加入の原理原則】
1 いつから?:2011年10月15日から
2 誰が? :中国国内で就業証を保有して就労している外国人
3 何に? :中国人と同じ「5種類」の社会保険
各地方で「細則」が定まっていないため、「強制加入の圧力がない」とご理解ください。
今回、蘇州市において「細則(『蘇州市で就業する外国人の社会保険加入業務遂行に関する通知:蘇人保規[2012]1号』」が発布されました。ポイントを4つに絞ってご紹介します。
【蘇州市:外国人社会保険加入の細則 4つのポイント】 ※蘇州工業園区は別
1 いつから?:2011年10月15日に『さかのぼって』加入
2 誰が? :蘇州市内で「就業証」を有して就労する外国人(定年退職年齢未満)
3 何に? :中国人と同じ「5種類」の社会保険
4 手続きの期限は?:2012年2月末までに手続き、納付
蘇州市での細則も基本的には「原則通り」の内容でした。
衝撃的だったのは、2011年10月15日以前から蘇州市で就労している外国人については、
① 『10月15日にさかのぼって』加入、②手続き期限が2012年2月末日と日数が少ない事です。また、手続
き・納付が3月以降となった場合は「関連規定に従って納付しなければならない」とされていますが、これ
は昨年末に中央政府が発布した「113号通達」に触れられた「延滞金とは異なる」とされており、日系企業
の間では混乱が見られる状況になっています。
詳細については、2月20日(月)に蘇州日商倶楽部が主催するセミナーにて蘇州市当局者から直接説明
が聞けることになっています。弊社もそのセミナーにて講師として参加しますので、詳細については改め
てご報告できると思います。
日系企業にとって大きなコスト負担増となる外国人社会保険加入問題ですが、細則発布時に最も注目すべきは、『過去遡及の有無』です。上海市等未だに「細則」が発布されていない地域では、発布時期が先延ばしとなるほど、『過去遡及義務』が課せられた場合一度に払う保険料のインパクトは強くなってしまいます。
上海市での「今から任意加入」とした場合は、社会保険料納付は加入月からとなっています。
「上海市細則」がどのような内容になるのかは今もって不明ですが、「今から任意加入する」という選択も、「現実的な選択肢」としてご検討いただいて良いかもしれません。