毎年夏には、大学新卒者がフレッシュマンとして各企業に入社していきます。しかし、7月初旬時点での大学新卒者の就職率は68%と報道されていました。まだ就職先が決まっていない約30%の新卒者と、昨年から就職できていない大卒者を合わせると、全国で300万人にも上ると言われています。更にリストラや企業倒産により、職を失った人も少なくありません。6月末時点での全国の失業保険受領者は257万人と言われ、人力資源社会保障部の報告によると、就業問題で際立っているのは「大卒生、出稼ぎ労働者、都市部就業困難者」の3グループとのことです。 しかし、少しずつではありますが、全体の雇用状況は回復に向かっているようです。実際にマンパワー社が行った中国大陸の第3四半期雇用情勢調査報告でも、「引き続き低迷しているが、下げ幅は緩和され、都市や業界により情勢回復の兆しがみえる」と報告されています。業界別ではサービス業が最も好調であり、3四半期連続で雇用情勢が最も良好な業界となっています。雇用予測指数と呼ばれる指数はプラス10%。続いて金融・保険・不動産業が好調で雇用予測指数プラス9%。建築や物流業は雇用予測指数がマイナスではありますが、前期比で小幅上昇。
このような背景と、海外での就業困難も伴い、海外にいる中国人就業者・留学生は、多くが帰国の道を選択しています。私たちが実際に中国人人材とやり取りをする中でも、日本での就業困難にぶつかり中国への帰国を選択する人材が、今年特に増えています。また、北米中国学生国際交流センターの最新調査でも、「長期海外職歴を持つハイレベル人材」の多くが、「中国に戻り就職したい」と回答しています。このような傾向は、「過去30年の調査で初めて」と報道されています。目下仕事を持つ理工科の人材も、リストラや減給が頻繁に行われる現状を目の当たりにし、多くが帰国の道を選択したようです。今までは「帰国し創業」を希望する人材が多かったこの調査ですが、調査時点では9割が「帰国し就職」を希望しています。また、中国での就業時に重視する項目も、「給与」よりも「自分にとって少しでも大きな成長・経験の機会」へと変化している点も注目に値します。
不況期の人材市場は、買い手市場となります。今まで出会えなかった優秀な中国人人材が、海外から多く帰国する機会を模索しているのも確かです。この時期に社内の人事に関し、再度検討されてみるのも良いかもしれません。