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人事労務サービス会社等から既にご案内を受け取られていらっしゃる方も多いと思いますが、上海市における外国籍者の社会保険加入につきまして、2021年8月15日が期限となっておりました加入免除の関連規定(滬人社養発【2009】38号、滬人社法【2016】301号)が延長されませんでした。現在(2021年8月17日)までにおいて、「強制加入」に関わる細則は発表されておりませんが、「加入が可能(任意加入)」という通知が廃止されたことにより、一般的には上海市の外国籍者についても中国社会保険の加入手続を進める必要があると理解されています。
【上海市の関連規定】
・滬人社養発(2009)38号
http://rsj.sh.gov.cn/tylbx_17283/20200617/t0035_1389709.html
・滬人社法(2016)301号
http://rsj.sh.gov.cn/tqt_17339_17339/20200617/t0035_1389099.html
※「加入が可能という通知(38号通知)」は、「301号通知」により2021年8月15日まで延長となっておりました。
【加入する場合の2021年社会保険(5険)の内容(外国籍者は住宅積立金加入不要)】
・医療保険(会社負担9.5%、個人負担2%)
・養老保険(会社負担16%、個人負担8%)
※日本から派遣される駐在員は、「中華人民共和国で就労する被用者のための日本国公的年金の適用に関する証明書」の提出により、養老保険加入は免除されます。
・失業保険(会社負担0.5%、個人負担0.5%)
・工傷保険(会社負担0.16%~1.52%、個人負担無し)
※工傷保険の料率は業種により異なります。
・生育保険(会社負担1%、個人負担無し)
なお、日中社会保障協定の適用(日本で公的年金を納めておられる方の中国養老保険の加入免除)申請を行われる際には、日本年金機構において発行される「中華人民共和国で就労する被用者のための日本国公的年金の適用に関する証明書(以下、適用証明書)」が必要となります。
・適用証明書申請書
https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/shikumi/shinseisho/china/china.html
・既に赴任されておられる駐在員の方は「7」を合わせてご確認下さい。
https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/kunibetsu/notice/china.html#cms08
また、日本から派遣される駐在員の場合、基数の上限額(税込月次給与31,014元)を上回る可能性も高いと考えられますが、基数上限額に基づく、中国社会保険料の概算は下記の通りです(工傷保険は0.16%で試算)。
【中国社会保険料の概算】
・適用証明書を提出しない場合の「社会保険料(養老保険を含む)」
会社負担8,423.70元/名/月 個人負担3,256.60元/名/月
・適用証明書を提出した場合の「社会保険料(養老保険を含まない)」
会社負担3,461.40元/名/月 個人負担775.40元/名/月
社会保険基数を人民元給与のみとするのか、外貨給与も含めるのか等について確定はしておりませんが、現在、社会保険料は税務局への納付となっているため、月次申告額である「月次税込給与(人民元給与+外貨給与+会社負担個人所得税)」での試算が必要と考えております。
個人負担分社会保険料について、社会保険料控除は「専項控除(専項付加控除ではありません)」として「居民個人」のみ適用できるため、暦年で「満24時間となる中国滞在日が183日未満」となる方については、社会保険料控除が適用できず、当該部分が課税対象となり、個人所得税が増加します。
上海市人力資源・社会保障局コールセンター及び窓口での確認によると、中国社会保険の「遡り納付」、適用証明書の提出による養老保険加入免除の「遡り適用」の可否については、加入資料提出後において、各資料に基づき判断するとのことです。今後の動向に充分に注意し、所在地の社会保険センター等に申請方法、加入手続期限、必要資料等の確認・準備を進めるようご検討ください。