ワクチンの接種が開始されましたが、コロナ終息の兆しがなかなか見えません。中国でも、一部地域で第二波が見え始め、2021年の春節も厳しいものになると心配されています。昨年のように、いきなり出勤停止命令となり、会社運営にショックを与えることを防止するため、一部会社が「従業員の所在地が中高リスクエリアに指定される場合の予備対策」を準備しています。
現時点で、政府が「春節は勤務地で過ごし、実家に戻らないように」と呼び掛けてはいますが、強制力のある法律や政令が一切出されていません。このため、会社側で予備対策を策定し、従業員と合意すれば、迅速で合法な対応が期待できます。
万が一従業員が新型コロナウィルスに感染した場合は、会社が病気休暇として扱うため、対処方法が明確になっています。そのため、予備対策は主に「従業員の所在地が中高リスクエリアに指定され、会社に出勤できない」場合について、以下の問題の対策案を明確にすることが多いです。
1. 出勤できない期間の認定
中高リスクエリアに認定される場合、政府から明確な発表があるため、会社が情報を把握し、特別対応ができます。ただし、従業員の所在地によって、移動手段が確保できない、発表なく地元政府に移動制限されるなど、予想以上に欠勤期間が長引く可能性が考えられます。意図的な欠勤を防ぐために、従業員側に公的証明の提出責任を負わせ、公的証明が提出できない期間について、私事休暇として無給で処理することが有効だと考えられます。
2. 滞在地でホテル代などが発生する場合の負担
勤務地や実家の住所に滞在している期間中に中高リスクエリアに指定された場合は、自宅で隔離されるため、費用が発生しません。しかし、移動途中など、どうしてもホテルに滞在しなければならない場合、2週間以上も隔離されるため、かなり高額なホテル代が発生します。業務命令による移動であるかどうか、会社負担金額の限定など、宿泊費用の負担方法を事前に定めることが望ましいです。</ span>
3. 欠勤する期間の処理
従業員が隔離される欠勤期間中、会社が給与支給し続けると、人件費負担が高くなり、出勤する従業員にとっても不公平です。ただし、私事休暇ではないため、給与カットすると、違法になります。このため、給与は支給した上で、以下の方法で処理することが検討されています。
l 在宅勤務を実施する。
l 今年度の有給休暇の利用として処理する。
l 復職後の土日残業の代休として処理する。
4. PCR検査など費用の負担
中高リスクエリアから会社に復職する際、健康状態を確認し、同僚の不安を払拭するために、PCR検査など、医学レポートの提出を要求することが考えられます。検査の実施期間や検査費用の負担について、明確に設定したほうが、トラブルを回避できます。
以上の各種条件について、法律で明確な定めがないため、会社ルールとして事前に策定し、従業員の合意署名を取得したほうが、トラブルを回避しやすくなります。