香港税務局は2019年7月、「税務条例解釈及び執行ガイドライン第58号、第59号及び第60号」(DIPN58、DIPN59、DIPN60)を発表し、マスターファイル、ローカルファイルを含む移転価格文書及び国別報告書の準備、関連者間の移転価格、香港における恒久的施設(PE)について、詳細なガイドラインを提供しました。以下に移転価格文書、国別報告書の主な内容について、解説させて頂きます。
1. マスターファイル及びローカルファイルの文書化義務
対象年度 |
2018年4月1日以降に開始する事業年度 |
免除基準
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事業規模に基づく免除 l 年間売上高400百万香港ドル以下(売上高とは、財務諸表に記載されているすべての売上の合計額を指します。) l 総資産300百万香港ドル以下(総資産とは、減価償却後のすべての資産の合計額を指し、如何なる負債も引いてはなりません。) l 平均従業員数100名以下(香港における平均従業員数とは、毎月月末の平均値として計算され、正社員、パートタイム及び出向者を含みます。) ※上記の3条件の内、2つを満たす企業は文書化の作成、準備義務が免除されます。 ※年中に営業開始又は営業停止した企業は比率で免除基準値を計算する必要がありません。 |
関連者間取引規模に基づく免除 l 有形資産(金融資産及び無形資産を除く)譲渡取引220百万香港ドル以下 l 金融資産取引110百万香港ドル以下(金融資産は売掛金、受取手形、その他の債権、株式投資、債権投資、金融派生により形成された資産及びその他金融資産を含みますが、株式発行、関連者への商品販売による売掛金は含まれません。) l 無形資産譲渡取引110百万香港ドル以下 l その他の取引44百万香港ドル以下 ※各カテゴリーの関連者間取引額を合計計算し、基準額未満である場合、当該取引に関するローカルファイルの準備は免除されます。 |
2. 国別報告書及び国別報告書通知書の提出義務
国別報告書の提出対象者 |
l グループ最終親会社が香港にあり、連結売上高68億香港ドル以上の香港企業 l 連結売上高7.5億ユーロ相当額以上のグループ会社の代理親会社として指定された香港企業 l 税務情報の自動交換を前提とした租税条約を香港と締結されているものの、税務情報の自動交換ができていない場合のグループ会社のメンバーである香港企業 |
国別報告書通知書の提出対象者 |
l グループ最終親会社が香港にある場合、最終親会社である香港企業は通知書を提出する必要があります。 l グループ会社の代理親会社として指定された香港企業は通知書を提出する必要があります。 l 香港以外の国で国別報告書を提出したグループ会社のメンバーである香港企業は通知書を提出する必要があります。 |
※ 2020年2月号は上海通信・華南通信の統一号となっております。