[2010年3月号]特許権使用料の補充の通知が出ました![増刊号]

  2009年11月増刊号でお知らせした『租税条約の特許権使用料条項の執行に関連する問題に関する通知(国税函[2009]507号)』の追加の通知『租税条約の関連条項の執行問題に関する通知(国税函[2010]46号)』が2010年1月26日に公布されました。

国税函[2009]507号では、特許権使用料であっても、関連した人員を派遣した場合、恒久的施設の規定を満たした場合は、営業利益条項を適用すると明示していましたが(5条)、今回の補充通知の注意点は下記の2箇所です。
 

 

1. 恒久的施設を構成する場合の個人所得税の取扱を明示しています。
 
2. 人の派遣期間が事前に認定できない場合は使用料として暫定的に処理し、その後、
恒久的施設を構成するかどうかを確定する。
 
日中租税条約第15条2項では
1.報酬の受領者が当該年を通じて合計183日を越えない期間中国国内に滞在すること。
 
2.報酬が中国の居住者でない雇用者又はこれに代わるものから支払われるものであること。
 
3.報酬が雇用者の中国国内に有する恒久的施設又は固定的施設によって負担されるものでないこと。
 
の3つを全て満たせば、個人所得税は中国では免税とされていますが、恒久的施設と認定された場合は3つ目の条件を満たさずに、仮に183日以内であっても個人所得税の納付義務が生じます。
(恒久的施設になると、通常企業所得税の計算は、収入×推定利益率×企業所得税率25%となり、推定利益率の計算において、派遣人員の給与は費用として計算されますので、恒久的施設で負担されたとなります。)
当該事項が明示されたことにより、今後、恒久的施設の認定と個人所得税の徴収に対する各税務局の対応に注意する必要があります。
 

従って、ノウハウ提供においても、関連する人員派遣が伴うものであれば、人員派遣の対象者及び期間の管理、対価総額の各要素(①純粋なノウハウ提供、②人員派遣に伴うノウハウ提供(役務提供)及び提供地等)の合理的な配分を行い、それを契約書に明示するかどうかを慎重に検討する必要があるかと思われます。