[2007年07月号]退職時・退職後の税務

(この資料は、全部お読みいただいて90秒です。)

退職時・退職後の税務
~退職金にかかる所得税・住民税について~

 

 団塊の世代の方が退職時期を迎えています。今回は、退職される方が会社から退職金を受け取る際に、どのように税金が課税されるのかご紹介します。退職金は、長年の勤労に対する報償的なものであり、退職後に必要な生活資金である点等を考慮して、他の所得よりも課税が優遇されています。

1.退職金にかかる税金

 生前退職により、退職金を受け取る場合には、所得税・住民税が課税されます。(死亡退職により遺族が受け取る退職金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。以下では、一般の社員の方の生前退職を前提にご紹介します。)

 

2.受け取り方による課税方法の違い

退職金は、その受け取り方によって課税方法が異なります。

(1)退職一時金で受け取った場合退職所得の受給に関する申告書を会社に提出した場合)

1) 退職所得として他の所得と分離して課税されます。退職所得の金額は以下の方法により計算することが出来ます。

[その年中の退職手当金等の収入金額-退職所得控除額※]×1/2

※退職所得控除額

勤続年数
退職所得控除額
(勤続年数に1年未満の端数が
ある場合は切り上げます)
20年以下
40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超
800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 

2) 支給を受ける際に、所得税・住民税が源泉徴収され課税関係は終了します。
会社から[退職所得の源泉徴収票・特別徴収票]が交付されます。
退職した年の所得の状況によっては、確定申告を行うと所得税が還付される可能性があります。

 

(2)退職年金で受け取った場合

1)  受け取った年に、雑所得として他の所得と合算して総合課税されます。雑所得の金額は以下の方法により計算されます。

[公的年金等の収入金額-公的年金等控除額※] 

※年齢・収入(公的年金を合算した金額)に応じて一定の方法により計算した金額

 

2) 支給を受ける際に、所得税が源泉徴収され、会社等から[公的年金等の源泉徴収票]が交付されます。
この源泉徴収税額は、原則として確定申告で精算します。住民税は所得税の確定申告書を基に計算され、後日、納税通知書及び納付書が届きます。

 

*****ご注意*****

退職金の受け取り方法の選択については、個々の会社で退職金規程等を確認して頂く必要があります。また、一時金・年金の有利判定については、税金面のみならず、退職後の人生設計等も踏まえて、慎重な判断が必要です。