企業会計において、「リース取引に関する会計基準」が見直され、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、売買処理が義務付けられました。また税務においても、会計基準の見直しを契機として、平成19年度の税制改正により、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、売買取引に準じた処理へ改正されました。
1)主な改正点(借手の処理)
平成20年3月31日以前 | 平成20年4月1日以後(注1) | ||
処理方法 | 会計 | 賃貸借処理(注2) | 売買処理(注3) |
税務 | 賃貸借処理 | 売買処理 | |
減価償却の方法 | 会計 | - | 定額法、級数法、生産高比例法等の中から企業の実態に応じたもの(注4) |
税務 | - | リース期間定額法 | |
消費税の取り扱い | リース料支払時に消費税を認識 | リース契約時に消費税を認識 |
(注1)会計では平成20年4月1日以後開始事業年度より、税務では平成20年4月1日以後契約のリース取引より適用となります。
(注2)原則は売買処理ですが、例外である賃貸借処理が一般的であるため賃貸借処理としています。
(注3)少額のリース取引や短期のリース取引は、重要性の観点から賃貸借処理が認められています。
(注4)一定の要件のもとで定率法が認められています。
2)中小企業における会計処理
中小企業における会計処理については、「中小企業の会計に関する指針」に基づき、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は、原則、売買処理とし、例外として賃貸借処理ができるとされています。賃貸借処理を行った場合には、未経過リース料の注記が必要です。
(注)いずれの処理を選択しても、法人税法上の損金計上限度額は同じとなります。
3)消費税の取り扱い
平成20年4月1日以後に契約した所有権移転外ファイナンス・リース取引における消費税の取り扱いについては、売買処理と賃貸借処理のいずれの方法を適用した場合においても、リース契約を締結した課税期間において、リース資産に係る消費税額の全額が仕入税額控除されます。