【2025年8月】ペット業界から中国経済を考える

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コロナ禍も一段落し、改めて中国経済はどうなっているのか?今成長している業界はあるのか?という質問をよく頂きます。
そこで今回は現在の中国の成長業界の一つ、ペット業界の市場規模について紹介いたします。

 

都市部(犬猫)の消費市場規模        (単位:億元)

合計
2023年 1,488 1,305 2,793
2024年 1,557 1,445 3,002
2025年(予測値) 1,661 1,650 3,311
2026年(予測値) 1,772 1,884 3,656
2027年(予測値) 1,891 2,151 4,042

これらはあくまで「犬・猫」の数字を抜き出したものであり、実際には他のペット(爬虫類や鳥類、ハムスターのようなげっ歯類、熱帯魚のような魚類)等の他の種類も考えると市場規模としてはさらに大きくなります。(出典:2025年中国ペット業界白書)

このように、市場規模は年々拡大しており、今後も成長していくと見込まれています。

もう一つ、ペットを飼う飼い主の年齢に関して、2021年の時点では、1970年代に生まれた方が14.5%、 1970年以前に生まれた方が6%と、全体の中で20%以上が50歳以上になっていましたが、2024年時点で5.7%まで下がっています。(1980年代26.5%、1990年代41.2%、2000年代25.6%)

つまり、ペットを飼う飼い主の年齢層若年化が進んでいます。

同時に、高学歴や高収入(月1万元以上の収入のある方)の比率も増えており、ペットに対して使用する金額が今後も増えていくことが予想されています。

2024年時点で都市部のペット飼育数と4歳未満の子供の数がほぼ同数になっており、今後は子供の数よりペット飼育数の方が多いペット大国になっていくことが予想されています。

この現象は、中国社会の「少子高齢化」や「若者の価値観の変化」を反映しており、若年層でペット飼育が人気を集めている一方で、子育てに対する経済的・社会的プレッシャーが増大しているのが原因と考えられています。若者にとってペットはより手軽で経済的な「家族」の選択肢となってきているのだと思います。

また、影響はペット業界だけに留まりません。

深センや成都、南寧では空港のペット専用待合室ができたり(一部路線に限定されたり、手続きが煩雑という問題はあるものの)、高速鉄道にペット用の車両が導入されたりと、変化が起きています。

ペット業界は一見、自社とは関係がないように思えるかもしれませんが、こうした異なる視点から、業績向上のヒントを探るのも一つの方法です。ぜひ一度、検討してみてはいかがでしょうか?