日中クロスボーダーM&Aコラム
「日中M&Aの特色」
Q:日中M&Aは異なる規定や条件が存在し、日中M&Aならではの特色があるとお聞きしました、詳細について教えてください。
A:日中M&Aでは、譲渡企業管轄の工業園区などの譲渡承認、クロージングまでに時間が掛かり、譲渡所得の納税申告、外貨送金などの手続きが発生するのが特色といえます。以下にて詳細を解説いたします。
解説:
日中M&Aはクロージングまでに時間が掛かる
日中M&Aでは譲渡企業管轄の工業園区などの譲渡承認が必要な為、クロージングまでに時間が掛かります。特に、譲渡企業の政府管轄部門からの譲渡承認が下りなければ、幾ら当事者間の合意が出来ていても、M&Aが進まない事になりますのでご注意ください。政府管轄部門は、買い手候補のブランド力、譲受後企業所得税や個人所得税及び増値税(日本の消費税)の希望の納税額を満たせる担税力のある企業かどうかで判断しています。
譲渡金額が税務上の譲渡金額ではない
日本の親会社は、持分譲渡に係る譲渡所得に中国の「企業所得税法」に基づき課税され、企業所得税を納付する必要があります。譲渡所得は、譲渡価額から譲渡原価を控除して算出されます。通常譲渡価額は、持分譲渡契約書に記載された金額になりますが、中国では譲渡価額の信憑性検証する為、鑑定評価事務所の鑑定評価を求められる場合がありますので、ご注意下さい。
『中華人民共和国企業所得税法』の第3条、第4条に基づき、非居住者で中国国内に組織や事業所を設立していない場合、企業所得の適用税率は20%ですが、『中華人民共和国企業所得税法』の第27条、及び『中華人民共和国企業所得税法実施条例』の第91条に基づき、非居住者は、10%の企業所得税の軽減税率が適用されます。
中国からの送金は外貨管理局への承認手続きが必要
外国企業は『外国投資家による国内直接投資の外貨管理規定』に基づき、外国から直接投資を行う場合、FDI外貨登記が必要です。譲渡金額の中国からの送金は、外貨管理局(登録地銀行)にてFDI外貨変更登記手続きを行う必要があります。