【2024年11月】就業規則と法律が異なる場合、どっちに従うべきか?!!

 

 

就業規則と法律が異なる場合、

どっちに従うべきか?!!

 

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多くの日系企業では「就業規則」を整備しています。しかし、その規程内容の書き方や法律の変更により、「就業規則」の内容が法規定と一致しない場合がしばしば見られます。このような場合、どちらに従うべきでしょうか。最近、次のような判例がありました。

従業員は入社時に、「就業規則」を確認し、署名しました。「就業規則」には以下の内容が明確に定められていました。

  1. ●「3日間以上の無断欠勤があった場合、懲戒解雇とする。」
  2. ●「従業員の妊娠中、出産期間中、授乳期間中は、会社は労働契約を解除してはならない。」
従業員が妊娠し、会社に3月4日までの休暇申請を提出して取得しましたが、休暇終了後も出勤しませんでした。
会社は3月15日に「労働契約解除通知書」を発行し、3日以上の無断欠勤を理由に懲戒解雇処分を行いました。
従業員は仲裁および訴訟を提起し、労働契約の継続を求めました。

 

一審判決では、「『就業規則』において、妊娠中の女性従業員に対して労働契約を解除してはならないと定めており、さらに妊娠期間中に労働契約を解除できる規定が定められていないため、会社の解雇は違法である」と判断されました。会社はこの判決に不服を申し立て、上訴しました。

二審判決では、「『労働契約法』第42条で、妊娠、出産、授乳期間中の女性従業員について、法律第40条および第41条に基づいて労働契約を解除してはならないと定めている。ただし、妊娠期間中であっても、従業員は会社の労働規律や規定を守らなければならない。無断欠勤は会社の規定に違反しており、従業員が妊娠期間中であっても、この違反に基づく懲戒解雇は違法ではない」と判断されました。

今回の判決から、法律は会社の規定よりも優先される傾向が強いことが分かります。例えば、最近の法改正で法定定年年齢が延長されましたが、「就業規則」で旧法に基づく定年年齢が定められていたとしても、実際の運用では最新の法律が自動的に適用されます。

ただし、今回の判例のように、従業員の誤解を防ぐためにも、「就業規則」を定期的に見直し、最新の法規定と統一することが望ましいと考えられます。弊社では「就業規則の無料簡易レビュー」サービスを行っておりますので、ご不安がある場合はぜひお気軽にご相談ください。