【日中クロスボーダーM&Aコラム】中国の資産評価方法<マーケットアプローチ>

日中クロスボーダーM&Aコラム

 

「中国の資産評価方法<マーケットアプローチ>

 

Q:中国の資産評価方法のうち、市場法(マーケットアプローチ)について、教えてください。

 

A:市場法(マーケットアプローチ)とは、コストアプローチ、インカムアプローチと共に、中国の資産評価方法における一つであり、基本的な考え方は、日本のマーケットアプローチと同様です。

解説:

日中クロスボーダーM&Aの企業価値の算出において、資産評価方法の選択は重要です。市場法(以下“マーケットアプローチ”と表記)は、時価純資産法等のコストアプローチやDCF法等のインカムアプローチと共に、資産評価における基本三種の一つです。

 

中国のマーケットアプローチも日本と同様に、評価対象資産・企業(以下“評価対象物”と表記)を、比較対象物と比較、調整し、市場価値をベースに評価対象物の評価額を算定します。

中国のマーケットアプローチでは、主として“上場企業比較法”や“取引事例比較法”を用いて評価しますが、いずれも以下の要素を前提として、評価対象物に対する比較、調整を行う為、ベースの考え方は日本と同様です。

 

【中国のマーケットアプローチにおける重要要素】

  1. マーケットの活発さ
  2. 比較対象物の類似性
  3. 比較対象物の取引日や評価基準日との近さ
  4. 比較対象物の取引目的及び取引条件の比較可能性
  5. 参考資料情報の適切性

この為、中国のマーケットアプローチも、“客観性”や“市場での取引環境の反映”には優れているものの、“固有の性質の反映”に劣る傾向は、日本のマーケットアプローチと同様と考えて良いでしょう。