日中クロスボーダーM&Aコラム
「中国の土地使用権は、売買できますか?」
Q:中国の土地使用権の購入や売却はで可能ですか?
A:中国において、土地の所有権は売買できません。土地の使用権は法に従い売買ができますが、全ての土地使用権が売買可能というわけではありません。
解説:
① 土地所有権と土地使用権
中国の土地所有権は、「国有」と「集団所有」の二種類に分けられます。
※【土地管理法】第2条:中国では土地は社会主義公有制、すなわち全国民所有制(国有)と労働大衆集団所有制(集団所有)制となります。
よって、日本のように土地私有制度とは異なり、中国の土地は、個人、企業ともに「土地使用権」しか保有できなく、「所有権」を有することは出来ません。
② 国有土地の使用権売買
【城鎮国有土地使用権譲渡及び転売暫定条例】の第4条により、土地使用権を取得している土地使用権者は、その使用権を使用年限内に譲渡、賃貸、抵当、またはその他の経済活動に使用することができます。
よって、個人や企業が保有する土地使用権は譲渡する事ができます。但し、土地用途に応じてその使用年数が法的に限定されており、使用期限は売買によって変わりません。
※土地使用権の法定の最長使用期限:居住用地は70年;工業用地は50年;教育、科学技術、文化、衛生、スポーツ用地は50年;商業、観光、娯楽用地は40年;綜合及びその他用地は50年。
③ 土地使用権の売買できない場合
上記条例の第19条により、土地使用権譲渡契約に規定された期限と条件に基づいて土地の開発、利用に投資していない場合、土地使用権は譲渡する事は出来ない。最近、土地使用権に関わる持分変更に関し、政府が土地譲渡契約の履行監督管理を強化する目的で、譲渡人(政府)の同意権を強化する傾向が見られます。
また、集団所有に属する土地は、土地用途(建設用地・農業用地・その他など)によって関係する政府手続きが複雑であり、土地使用権の取得は難しいといえます。
尚、持分譲渡で企業全体を売却する場合には、土地使用権の権利はそのまま買い手に継承される事になります。