【日中クロスボーダーM&Aコラム】日中M&A、クロージングのタイミングは?

日中クロスボーダーM&Aコラム

 

「日中M&A、クロージングのタイミングは?

 

Q:M&Aにおけるクロージング、日中M&Aのクロージングの違いおよび掛かる期間について教えてください。

 

A:日中間のM&Aでは、持分譲渡契約書が締結されても資金決済はされず、政府部門の譲渡承認、投資者変更手続き、納税、資金送金が行われた時点がクロージングとなります。

解説:

◆ M&Aのクロージングとは?

M&Aにおけるクロージングとは、持分譲渡契約書を締結し、譲渡条件の履行や譲渡諸手続きを実行、その後、売り主・買い主間で、譲渡代金をエスクロー口座に入金します。そして譲渡対象資産の引渡しを行い、経営権の移転を完了させることがクロージングとなります。但し、日中間のM&Aでは、譲渡企業を管轄する工業園区などの譲渡承認が必要となり、クロージングまでに時間が掛かかります。

 

◆ 日中M&Aのクロージングのタイミングは?

日中間のM&Aにおいてクロージングは、デューデリジェンスや条件交渉などの作業を経て、最終の譲渡価格の交渉完了後、持分譲渡契約を締結し銀行にてエスクロー口座を開設、投資者変更手続きが行われます。その後、エスクロー口座に譲渡代金を入金、社員に対する経済補償金(退職金)の支払い(買い手が経済補償金を引き継ぐ場合は支払いはありません。)、譲渡所得の納税申告、外貨管理局へのFDI申請手続き経て譲渡代金の送金が完了、全ての引渡し業務が完了した時点がクロージングとなります。

 

◆ クロージングにかかる期間の目安は?

クロージングまでの期間は契約内容によって異なりますが、一般的な目安としては持分譲渡契約書完了後クロージング日までに約3カ月かかる場合が多いです。実際の所要時間は、取引の複雑さや関係者の進め具合によって異なります。
特に、譲渡企業の政府管轄部門からの譲渡承認が下りなければ、幾ら当事者間の合意が出来ていても、M&Aが進まない事になりますのでご注意ください。政府管轄部門は、買い手候補のブランド力、譲受後企業所得税や個人所得税及び増値税(日本の消費税)の納税希望額を満たせる企業かどうかで判断しています。