PDF版はこちら → 上海通信 2023年11月号
大家好!国慶節連休も終わって本格的に秋らしくなりました。もうすぐ中国の会計年度末を迎えることになります。ここ数カ月間に出た税務関連の通知・公告のうち、多くの日系企業にも関連すると思われるものを纏めてみました。既にご存じという方も多いかもしれませんが、自社の適用状況も含めておさらいしてみてください。
外国籍者個人が取得する手当の個人所得税政策継続実施に関する公告 【財政部 税務総局公告2023年第29号】 |
いわゆる外国人の個人所得税の優遇政策の延長です。住宅手当、語言訓練費、子女教育費等が免税となるものです。詳細は先月の上海マイツ通信増刊号を参照ください。今までは期限切れ直前の12月下旬に延長されてきた経緯がありますが、今回は2027年12月末までの延長という公告が8月に出ました。大変うれしいニュースでありしばらくは安心です。 |
年一回性賞与の個人所得税政策継続実施に関する公告 【財政部 税務総局公告2023年30号】 |
年に1度だけ賞与について低めの税率で計算できるという優遇政策の延長です。こちらも詳細は先月の増刊号を参照ください。こちらは外国人のみならず中国人も含めて全員適用可能です。年一回性賞与について12カ月で割った金額に対する月額税率表の税率が適用できるというものです。上記と同日に発表され、同じく2027年12月末までの延長となりました。 |
個人所得税専門付加控除項目の標準を高める通知 【国務院 国発[2023]13号】 |
中国の個人所得税も様々な控除項目がありますが、それらの標準を提高、つまり増額させる通知です。3歳以下幼児扶養費1,000元⇒2,000元、子女教育費1,000元⇒2,000元、満60歳以上高齢者扶養費2,000元⇒3,000元(兄弟で按分)となりました。なお今回増額とはなっていないものの、高額医療費や住宅ローン金利、家賃などにも控除があります。こちらは中国人のみならず外国人も適用可能ですが、上記の外国人の個人所得税優遇政策との両方取りは出来ません。どちらかの選択適用になります。なお、この通知は2023年1月1日、つまり今年の年初に遡って適用となります。 |
個人所得税総合所得の確定申告事項延長に関する公告 【財政部 税務総局公告2023年32号】 |
年度の総合所得が12万元以下、または追加納税すべき金額が400元以下の場合に確定申告をしなくてもよいという政策が2027年12月末まで延長となりました。もちろんきちんと源泉徴収されている場合に限ります。 |
設備・器具の企業所得税の控除に関する公告 【財政部 税務総局公告2023年37号】 |
2024年1月1日から2027 年12月31日までの間に新規購入した設備・器具について、単価が500万元以下のものは一括で損金算入できます。単価が500万元を超えるものは減価償却期間の短縮または加速減価償却の方法を採用できます。こちらも2018年からの政策が延長されたものです。なお、こちらは免税や減税ではなく課税の繰り延べになります。課税所得がマイナスの場合や繰越欠損金がある場合には適用しないほうが有利になる場合もありますので、自社の状況に応じて判断しましょう。 |
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