【2022年6月】設備・器具取得に関する税務上の優遇政策について

 

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過去の上海通信でもご紹介した「設備・器具の控除に関する企業所得税の通知」(財税【2018】54号)に基づく、単価500万元以下の設備・器具購入の一括損金算入規定については、これまで多くの日系企業で適用事例が見られました。

2022年3月に「中小零細企業の設備・器具に係る企業所得税の損金算入に関する政策」(財政部 税務総局公告2022年第12号)が公布され、単価500万元以上の設備・器具購入に関しても税務上の優遇政策が発表されておりますので、その概要をご紹介します。

 

中小零細企業が2022年1月1日から2022年12月31日までに新たに購入する設備・器具で単価500万元以上の場合、下記の一定比率で損金算入することを選択できる。

設備・器具の償却耐用年数(※) 優遇内容
3年 取得価額の100%を当年度に損金算入
4年、5年、10年 取得価額の50%を当年度に損金算入

残額の50%を規定の残存耐用年数により減価償却して損金算入

(※)企業所得税法実施条例で規定する最低耐用年数

 

中小零細企業とは、国家が制限または禁止する業種に従事せず、かつ以下の条件を満たす企業を指す。

業種 条件
(1) 情報通信産業、建築業、賃貸業、ビジネスサービス業 従業人数2,000人以下、または営業収入10億元以下、または

資産総額12億元以下

(2) 不動産開発経営 営業収入20億元以下、または資産総額1億元以下
(3) その他の業種 従業人数1,000人以下、または営業収入4億元以下

 

【ポイント】

➀本優遇政策における設備・器具とは、建物、構築物以外の固定資産を指します。

➁適用期限に注意が必要です。本優遇政策は2022年度に購入した500万元以上の設備・器具が対象であり、今のところ2023年度以降は適用できないことになっています。

また、500万元以下の設備・器具購入に関する一括損金算入規定(財税【2018】54号)は、2023年12月31日までに購入した設備・器具が対象です。

過去には適用期限が延長された実績があり、今後の動向を注視することも必要です。

➂本優遇政策は、設備・器具の購入初年度に取得価額の100%(或いは50%)を一括損金算入することで課税所得を減少させ、課税の将来への繰り延べ効果を享受するものです。本政策を享受するかどうかは企業が自由に選択出来ます。但し、購入年度に享受しないことを選択した場合、当該設備・器具については、次年度以降に変更して本政策を享受することはできません。

 

多くの日系企業が本優遇政策で規定する中小零細企業の条件に合致するものと思われますので、今年度に大規模な設備投資を予定されている企業様は、適用を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

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